オンラインサロン
「CORE」開設について

オンラインサロンを開設されるということですが、今までのファンクラブを完全に廃止して、オンラインサロンのみにするという認識でよいでしょうか

mitsu(以下m):そうです。……といっても、ファンクラブとオンラインサロンの違いってぶっちゃけわかっていないんだ。実際、今回も「ファンクラブ」にしようかと思っていたぐらいで。なぜかというと、オンラインサロンをやるのが初めてだし、オンラインサロンをやりたい! というよりも、「mitsuのファンだ」っていう認識が、俺もファンもお互いに持てるようなひとつの形が欲しかっただけだから。

いつ頃から考えていたのですか?

m:コロナ禍の途中ぐらいから「自分の船を作りたい」って言っていた。そこに一緒に乗ってくれるクルーみたいな、そういう人たちと活動していきたいって思っているし、クルーになってくれた人たちの人柄というか、どういう人なのか知りたいっていう思いがあって。それを叶えるのがオンラインサロンっていう形式なのかな、と。俺の近くで応援してくれる人がいる場所、それをわかりやすくしたかった。俺の活動の「核」になるものだから、名前は「CORE」にした。

現状のファンクラブではやりづらい部分があったのでしょうか

m今までのファンクラブもいいツールでコミュニケーションは取りやすかった。でも、使い方の方向性を変えたいなと思った時に、ちょっと使いづらさを感じたんだよね。

とても良いシステムだったと思うんだけど、俺にとっては「自分の船」ではなかったな。他人の船をレンタルしているっていう感覚に近かった。でも、俺が今やりたいことって、自分たちで船を作って自分たちで方向を決めて進めるっていう活動の仕方。その仕組みを作るためにどうすればいいかをずっと考えていて、いろんな人の話を聞きながら情報を集めていた。いろいろと知った上で、この方法が合ってそうだなと思ったのがオンラインサロンだった。

CORE」の構想を思いついたきっかけはありますか?

mやっぱりコロナ禍の影響が大きいかな。オンラインでの活動をしてきて、デメリットを感じたのは、今の活動を応援してくれている「ファン」と、「フォロワー」っていうかちょっと距離がありつつ見てくれている人とがいて、「ファン」のことが見えづらくなったんだよね。

コロナ禍以前だったら、ライブに来てくれて直接顔が見える存在=「ファン」だったんだけど、今はSNSとか閲覧数とかの数字が先に来ちゃって、「フォロワー」と「ファン」の境目が曖昧になったというか。「フォロワー」もありがたい存在ではあるけど、俺の中では「ファン」とは明確な違いがある。

オンラインの活動やSNSだと、俺が「ファン」に対して投げている言葉が「フォロワー」にも届いている可能性があるよね。「ファン」に言いたいと思っていることが、「ファン」じゃない人にも届いているのがすごく歯がゆかった。「ファン」だったら俺の言葉のニュアンスを汲み取ってくれるだろうなっていう信頼感があるんだけど、それが「フォロワー」だと、言葉の表面だけしか掬えないということもあるんじゃないかな。仕方のないことだけど、ちょっとした発言でも違う捉え方をされてしまうかもって思いながら発言したり、活動したりするのがすごい窮屈で。俺自身が誰に届けているかを明確に認識したいなと思ったんだ。そうじゃないと「ファン」じゃない人たちの顔色を気にした言葉になっちゃう。例えば、友達との直接の会話を、ずっと部外者に聞かれている意識がすごく強くなってしまう。だから、信頼し合える人との場所が欲しくなったんだ。

安心して、そのままの自分でいられる場所がほしいということですね

mうん。もちろん、親しき仲にも礼儀ありだから、言葉をまったく選ばないとか、そういうことではない。伝えたい言葉を薄めて伝えなきゃいけなのは勿体無いから、そういうことをしないで済む場所がほしい。

逆も然りで、「ファン」からの感想とかコメントも「これはSNSだから誰かに見られている」っていう気持ちがあると思う。だから、ここの余計な気遣いを排除するというか。関係ない人たちを意識してコミュニケーションを取ろうとすると、距離感を縮めづらいなって、コロナ禍でとくに思った。

自分を応援してくれる「ファン」との距離をぐっと近づけて、そうでない人との違いをはっきりさせたかったということでしょうか

m以前は「ライブハウスに来てくれるみんな」っていう線引きがあったんだけど、今はコロナ禍でオンラインでの応援になった人もいるし、ライブに来たくても来られない人もいる。その人たちが「ファン」じゃないのかっていうと、違う。そういう人たちが「ファンじゃない」になってしまうのはすごく嫌で。

ファニコンに入って応援してくれているのに、俺が何もできていない状態が嫌だった。ファニコンはコロナ禍前年の11月11日から始めたんだけど、初めてのファンクラブイベントがコロナの影響で中止にするかどうかというギリギリのラインだった。オフラインイベントも結局1回しかできていないし。コロナ禍前と今ですごく状況が変わったから、コロナ禍で何ができるかというのは、ファニコンをどう運営するか考える大きなきっかけになった。

それに、オンラインで活動するようになって初めてわかったことが多くて、例えば、Zoomイベントで「ファン」一人ひとりのことをすごく強く認識することができた。応援してくれているけど、どうしてもライブに来られないとか、そういう人たちを置いてけぼりにしたくない。コロナ禍でもめっちゃ応援してくれた人たちなのに。

「ファン」でいてくれる人とはお互いが認識し合えて、一緒に楽しくしていこうっていう仲間意識っていうか、俺と「ファン」の人生が重なっているっていうのをちゃんと共有したい。

ライブに来られない人だって「ファン」だし、mitsuさんもそういう人たちを大事にしたいと思っている、と。それをより明確にするための場である、ということですね

m:そう。お互いの意思表示を明確にする場所。俺もだし「ファン」も。お互いが思っているならそれを伝えあおう、と。一緒に楽しいことしたいって思い合っているのに言えないまま、みたいな状態だったから、一緒にやろうよ! って言い合える場があればすごくハッピーだし、シンプルだから。そういうのができたらすごくパワーになるよね。

オンラインサロンではそのような活動をするのですか?

m例えば「CORE」に属している人だけが見られるライブとか。今後はオフラインのライブを増やすって決めているからこそ、オンラインの活動が減っちゃうと、置いてけぼりにしてしまう人が出てきてしまうかもしれない。それは嫌だから。ツイキャスでオンラインライブをやったりしたけど、もしかしたら「ファン」じゃない人も見ているかもしれなかった。それは少数かもしれないけど、そこに気を回してしまう自分もいたから、そういうのを気にしなくていいライブができる。オンラインの活動で得たものをもっと発展させることができるよね。

あとは、みんなからの質問とか普通に答えたかったりする。知らない人に「最近どう?」って聞かれても答えたくないけど、知ってる人なら気軽に話せるでしょ? そういう当たり前のことを当たり前にやっていきたい。

カラオケ配信とかもやっていたけど、自分が遊んでいるところを知らない人に覗かれているみたいな気持ちになっちゃったから、もっとちゃんと「ファン」の人たちだけに見てもらえるようにしたい。他にも企画はまだまだ考えてるよ。

どのようなシステムになりますか?

m種別が3種類あって、ざっくりいうとジュニアとスタンダードとVIPって感じ。自分が一番過ごしやすい場所にいてほしいから3つに分けた。住みやすい船室を選んでほしい、みたいな。

オンラインで活動してみてわかったことの一つに、ファンの人が望むことって結構人それぞれだなというのがあって。ライブ一つとっても、コメントしたい人もいて、じっくり見たい人もいてそれぞれ楽しみ方が分かれるし、もっと深く知りたいっていう人もいれば、気軽に楽しみたいという人もいる。「ファン」のことを知れば知るほど、もっと向き合って、喜ばせたいって思った。オンラインサロンは自分の船だからこそ、楽しみ方の選択肢を作れる。

今までのアーティストだったら「すべての人のために」っていう意識の人が多かったと思うんだけど、こんな時代になって、俺は「すべてに届かなくていい 目の前の君に届けばいい」って思ってる。不特定多数に愛されようとするのは俺らしくない。俺の好きな人たちが俺のことを好きでいてくれたらハッピーだし、俺はそういう考えで生きていきたい。そのほうが音楽で気持ちよくなれるだろうなって思っている。

CORE」の活動期間は決まっているのでしょうか

mできる限り続けていく予定。mitsuが音楽を続けていく上で、なぜ音楽をやるのかって立ち返ったときに、全部「CORE」に集約したいって思っているぐらい。

作品を作るのが喜びで、それを聴いてほしいっていうのが願いだけど、自分の喜びとか夢の所在地をどこに置くのかといったら「CORE」にしたい。

今は家なしでずっと旅をしている気分。「CORE」はみんなで進める船でもあり、帰って来る場所でもある。イベントとかmitsuのソロ以外の活動をしても、『すべては「CORE」のため』という場所にしたい。

活動のベース、基地ですね。

m:本拠地だね。それにしても、やってみなきゃわからないことが本当にたくさんある。船を作ったことがないやつが船を作ろうとしているんだから。やってみて「ちょっと違ったな」って思う瞬間もあると思う。でもそれが、自分のオンラインサロンだったら自分で直していけるというのが大きいと思っている。違ったと思ったことをきちんと伝えることもできるし、こう直す、というのも伝えられる。だから、「CORE」を長くやればやるほど俺にとっての理想郷が出来上がると思っている。最高の家、マイホーム。「CORE」に入ってくれた人たちにとっても最高の居場所になると思うよ。

CORE」の展望を聞かせてください

mやりたかった活動ができるようになるよね。例えばZINEを作るとか。今までできなかったのは、ZINEを作ることで削らなきゃいけない活動が発生しちゃうから、ZINEを手にしてくれる人がどれくらいいるかわからない状況で、他の活動を犠牲にしてまで作ることはできないよね、という判断をしたこともあった。でも「CORE」があることでいろいろと明確になれば、こんなことができる! っていうのが具体的にわかるようになる。いろんなことができるようになると思うよ。

どのような船に成長していくか、楽しみです

m今後、俺にとって一番大事なものは? って訊かれたら「COREです」って答えるようになる、そんな場所。熱く応援してくれる人に熱く応えたい。そういう良い循環が生まれると思う。

「CORE」でできることを想像するとワクワクするんだよね。より一層、挑戦も冒険もできると思う。入ってくれる人がいたらね(笑)騙されたと思って入ってみてほしいな。騙さないから。もっと楽しい経験ができるよ。